第39弾 活動報告書

日毎に朝夕の寒さが増して来ました。早いもので、先週福島へ行ってから早くも一週間、年末に向けて時間が経つのが早くなっているような気がします。第39弾には多大なるご支援・ご協力を戴きました事を先ず以って御礼申し上げます。

第39弾の活動報告をさせて戴く前に、活動翌日の写真をご覧戴きたいと思います。今回の行程は福島県郡山市で10月18・19日の両日開催された「B-1グランプリ」への輸送も兼ねており、土曜日(18日)はあすなろとしてのイベントでしたがその翌日は夕方の備品撤収まで時間があったので、同行してくれたH君と二人、本隊と別れて国道6号線を目指しました。先月走った相馬~常磐広野までの6号線を再度見たかったんです。以下がその時の写真です。

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上記の写真は南相馬市鹿島区の様子です。建物が無くなった広大な荒野、防波堤などの修復工事が始まっているものの、まだ手付かずの場所があります。

下の10枚の写真は同じく南相馬市鹿島区の烏崎の海岸です。ここは昨年6月に案内して戴いた場所です。右上の建物は東北電力の原町火力発電所、この南に福島第一原発があります。

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津波で破壊された防波堤は全く同じ状態、太平洋からの波風で砂がかなり内陸に入り込んでいました。

因みに、同じ場所の昨年6月の様子。大きなタイルが撤去された位で、殆ど変っていないことがお解りだと思います。

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最後に南相馬から富岡に向かう6号線の様子です。対向車も殆ど無く、生活感が全く無いんです。住宅地に入る道路は全て封鎖されてガードマンが警戒に当たっていました。一部進入出来る道路も通行許可証の提示が無いと入れません。

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上の写真でもお解りのように、先月までは車輌の進入も制限されていた場所です。壊れた建物も、屋根もあの日から放置されたままです。はびこった雑草が全てを物語っているような気がしました。

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「道の駅 相馬」も現在は双葉警察署の臨時庁舎となっています。

 

冒頭から辛い写真をご覧戴き申し訳ございません。しかし、被災地の現状をお伝えすることも我々の使命だと思っています。ここも発災までは人や車が行き交い、夏になれば海水浴客で賑わう海岸、米や野菜や果物の産地だったんです。悲しいかな、原発事故の直後に緊急避難を余議なくされ、そのまま3年7ヶ月が過ぎました。ご存じの通り、住民は郡山市や二本松市などの「中通」と呼ばれる内陸部へ、そして県外へと避難されました。今回訪れた二本松市にも沿岸部から避難された方が大勢仮設暮らしをされています。一昨年にお邪魔した仮設住宅も全て浪江町の方々で、子どもさんは殆ど県外へ移住していました。以前の報告書でも、若い家族は子供の健康を考えて故郷を離れてしまい、地元に残ったのは高齢者ばかり、というようなことを書いた覚えがあります。福島から子供や若者がいなくなってしまうのでは、という新聞記事も確かに見ました。それほど原発事故、放射能汚染という問題は深刻なんです。原発の是非を語ることは敢えて避けさせて戴きますが、今回我々が訪問させて戴いたのは正に小さな子供さんを抱え、放射能汚染による健康被害に悩まされているお母さんたちのグループ、「ハハレンジャー」さんがいる幼稚園でした。直接伺うことはしなかった(出来なかったのが本音です。)んですが、恐らく沿岸部(浜通り)から二本松へ避難されていた方もいらっしゃったと思います。そんなお母さん達が悩み事の相談に訪れたお寺が今回お世話になった真行寺さんでした。お時間のある時にホームページをお読み戴ければ幸いですが、http://toshikyoto.com/press/1022→ある方のブログで佐々木住職の講演された内容が書かれていましたので、こちらは是非ご一読下さい。

さて、ようやく活動報告に入らせて戴きます。

今回の訪問はお馴染み「ウグイスの会」 K代表にご紹介戴きました。最初は夏まつりの候補地として一度ご紹介戴いていたんですが、双方の日程が合わずにずっと気になっていた所でした。折りしも前回相馬・南相馬と走った後だけに、どうしても次回は福島へ、という想いも重なり希望をかなえて戴きました。窓口としてご紹介戴いたOさんは住職夫人のお姉さんで、子供たちの「保養プログラム」や「青空市場委員会」の世話役としてご活躍されています。ご自身の子供さんも神奈川へ県外避難をさせているとのことでした。当初、活動内容を打合せした時、「子どもたちの喜ぶゲームを」というご希望があったので、縁日コーナーを中心に企画を立てました。当初は真行寺さんで開催するつもりだったのが法事があるので会場を20分ほど離れたグラウンドで行い、この日に幼稚園の行事として芋煮会とヨガも行うこと、同伴の父兄を併せると来場者は約300人程と情報が入ってきました。幼稚園の行事があると聞いた以上、その邪魔をする訳には行きません。そちらを最優先にし、我々の出し物をどのタイミングで提供するか。これが私の経験と遊び心が試される瞬間です。先ずは縁日コーナー。これは実績のある輪投げ・ゆらゆらコイン、サイコロゲームで決まり!グラウンドだから飛び跳ねる遊びも喜ぶだろう、とトランポリンを追加。更にスリッパ飛ばしの準備もしました。さて、300人分の振舞いは・・・折りしもB-1グランプリに四日市とんてき協会さんも出店されるから、少しでもPRになれば、と人気のある四日市とんてき、そして最早定番となった焼きハマグリ。幼稚園児さんだからと綿菓子にポップコーン。出発当日に桑名のTさんが届けてくれたトウモロコシも焼こう、とスタッフの人数も考えずに次から次へとメニューが追加になります。これが私の最大の問題なんでしょうね。一日粘らせて戴くので、ゲームだけでは無く、工作教室もやりたいなー、と以前経験のある「貝殻アート」を加えたところ、今回石川県から始めて参加して戴くJさんから「石鹸にデコレーションするのがあるからどうですか?」との打診がありました。迷うことなく即座に追加。もうこれで十分だろう、と普通なら考えますよね。然し、この時点で頭の中は興奮状態で、さらにもう一工夫出来ないか、と無い知恵を絞りだす自分がいました。「幼稚園児・・・ヨガ体操・・・。」それを繰り返し頭の中でイメージを膨らませます。「おそらく先生が前に立って、子供たちは一斉にその方向向いてるだろうから、後からそっと忍び寄って一緒にヨガ体操に参加するか、それも着ぐるみなら絶対驚くだろうな・・・。着ぐるみ・・・こにゅうどう君か牛か。」 すぐに四日市市の観光課へ打診しましたが、こにゅうどう君の着ぐるみは既に先約が入っていました。(後から四日市とんてき協会さんだと判明) どうしても諦めきれず、ダメ元で東産業さんへ打診。こちらは2年前の夏まつりでお借りした「ゴミゼロレンジャー」という戦隊モノなんですが、あちらこちらのイベントに引っ張りだこで殆ど諦め気分だったんですが、予想を見事に翻して二つ返事でOKが出ました。この時、出発の3日前。まさに滑り込みでした。

さて、会場となる「岳温泉グラウンド」には早朝8時に到着し、早速配置を決めながら設営にかかりました。ここでは配布会も行いますのでトラックの積荷を全て卸し、なるべく時間の掛かりそうなものから準備しましたが約1時間半を要しました。9時半開会だったんですが、8時半頃からは少しずつ人が集まり始め、「一体何するんやろ?」という冷ややかな視線も浴びつつ、心の中ではこれから展開するであろう歓声と笑顔に包まれたイベントを思いつつ、そして初めて食べる芋煮に期待しつつの時間でした。

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開会式が始まった頃、いつもお世話になっている住友フォークリフトのS君・M君、そして常連スタッフのN川君、元社員だったO君、そして私の5名は「控室」へ。外からはヨガ体操始まりの声が聞こえて来ました。気持ちは焦るものの、N川君以外は皆立派な体格ですのでぴちぴちのスーツに身体を押し込むのに四苦八苦。背中のファスナーを上げるのも他人に頼まざるを得ないじょうたいで、それでもなんとか「変身」を遂げた5名はそっとそっと園児に忍び寄ります。何せ、事前の打ち合わせも、ヨガ体操がどんなものかも知らないままの突入です。とにかく、黙って園児の後に座り、先生のやる通りに動こう、それだけの打ち合わせです。流石に敏感な子供たちが我々に気付き、ヨガどころでは無くなってきました。先生がタイミング良く紹介してくれ、それからは一緒にヨガ体操。遊び半分のつもりがやってみると結構私にはキツイ体操でした。身体が堅いのは昔からですが、「木のポーズ」で片足立ちで両手を上に上げたら見事にふらつきます。どうも体幹が悪い見たい・・・。

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はい、公言の通り、私も変身しました。青いのがそうです。思いがけないサプライズに園児たちは想像以上に喜んでくれました。

さて、ここからは今更説明もいらないでしょうから写真で会場の様子をご覧下さい。

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昼食は持参したお弁当と芋煮。和やかなムード一杯です。

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石川県のJさんたちによる「石鹸デコ」 子供たちに大人気でした。

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どのコーナーも行列が途絶えることなく、最高の盛り上がりでした。

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振舞いコーナーのスタッフも大忙し。トンテキ担当のM料理長、ハマグリとトウモロコシはH君、綿菓子職人として実力発揮の福井県のH社長、当社Ⅰ君はポップコーンで子供たちと楽しんでいました。

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幼稚園の先生・保護者さんによる芋煮。めちゃくちゃ美味しかったです。

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毎回思うんですが、イベントの進行をしながら写真撮影をするのは困難を極めます。専属のカメラマンがいればもっといい写真を提供出来るんですが・・・。もし、カメラマンとして参加して戴ける方があれば大歓迎です。ご連絡をお待ちしています。

楽しい時間はあっという間に過ぎ、最高の天候に恵まれた第39弾は無事に終了しました。ただ、これで終わらないのがあすなろ応援便です。折角の機会ですし、お寄せ戴いた野菜・米・消耗品を真行寺さんへお届けし、ご住職のお話しを聞かせて戴くことになりました。佐々木住職は自らチェルノブイリへ出向き、そこで知り得た知識を地元福島の子供を救うためにと日夜奔走されています。全国各地の講演会に呼ばれたり、この日も翌日に相馬市へボランティアに行かれるとのことでした。幼稚園の除染をしたり、被爆した食品などによる内部被爆に殊の外神経を使われ、一部の心無い人からは住職の活動が地元の農家などの障害になっていると言われたそうです。ただ、マスコミでは報道されない甲状腺ガンの発症率の高さ、目に見えない放射能への恐怖、帰るに帰れない自宅を案じる人、先行きを悲観して自ら命を絶つ人・・・。現実に福島の人が抱え込んでいる問題を直接聞き、我々の想像を絶する「戦い」が続いていることを感じました。住職に続き、Oさんからもお話しがありましたが、子供の為にご主人と奥さんが離れての生活となり、それが原因で離婚率も急増しているとの事。故郷を離れることの難しさや辛さ。福島の復興はまだまだこれから、という感じがぬぐえませんでした。住職の言葉で気になったのが「国は原発事故が無かったことにしたがっている。福島の人の中にも諦めて忘れようとしている人が増えている」というくだりでした。福島の産業は全てと言っても過言ではない程停滞しています。山菜を採っても人に配るな、とか魚はダメだ、木材も放射能に汚染されている等など、枚挙に暇がありません。この日、イベントを開催したグラウンドもそれほど高くないにしろやはり放射線量が検出されたために除染を行い、ようやく裸足で思いっ切り走り回れる場所になりました。同朋幼稚園さんはこの施設で青空のもと運動会を開催出来たそうですが、他の幼稚園や保育園、学校でも屋外で運動会が出来る所は殆どないようです。このような内陸部でも子供を屋外で遊ばせる時間はかなり親御さんが制限しているようで、子供たちのストレスも相当なものだと伺いました。教育機関や行政機関、公園や街中など、至る所に放射線の測定器が設置され、目に見えない敵に怯えています。

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真行寺さんやハハレンジャーさんが特に力を入れているのが園児たちの「保養」です。内部被爆をしていても、県外の保養地で何日か過ごすことで線量が下がるんです。当然、何十人も保養先へ行けば経費もそれだけかかります。真行寺さんではお寺の中に「青空市場」を開設し、食品や日用品などを配布されています。一部は有料として、その収益金を保養の費用に充当されています。今後も何らかの形でお手伝いし、福島の子供たち、そして日本中の子供たちが安心で健康な生活を送られる日が来ることを願わずにはいられませんでした。住職の尊い活動も風評被害を助長すると言われるようですが、それでも子供たちを守るのが自分の責任だと断言されていました。そんな熱い想いをもった人達が今現在、国から見放されようとしている、忘れられようとしている福島を盛り返そうと尽力されています。このブログをお読み戴いている皆様の中で、この真行寺さん・ハハレンジャーさんの取り組みにご共感戴ける方がありましたら是非とも応援してあげて下さい。

青空市場委員会さんの情報はこちら ⇒ http://haharen.web.fc2.com/index.html

今回の報告は写真も多く掲載したので長くなってしまいましたが、最後までお読み戴き有難うございました。遊びたい盛りの子供さんたちが屋外での遊びを制限され、その反動が今回のイベントで見せてくれた底抜けの笑顔とグラウンドを走り回る元気な姿に現れていたと思うと、またいつか訪問したい、子供たちと一緒に過ごしたい、という気持ちに駆りたてられます。ご関心のある方は是非一度我々とご一緒しませんか?福島にも岩手にも、宮城にも素晴らしい出会いがあります。温かく迎えてくれる仲間がいます。まだまだ復興・復旧は始まったばかりです。実際に見て、聞いて、触れることで何かを感じて戴く機会になると思います。今後もあすなろの活動に温かいご声援をお願い申し上げ、第39弾の活動報告とさせて戴きます。

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