今年も一年間、あすなろ応援便に対して心からのご支援・ご協力を戴きました事を先ず以って厚く御礼申し上げます。お蔭さまで本年度は第25弾から第32弾までの計8回、皆様のお力添えのもと無事に活動を終えられましたことに安堵すると共に、我々を受け入れて戴いた皆さん、出発前の準備等にお手伝い戴いた皆さん、本当に有難うございました。
今年の活動は、配布会だけだったのはたった1回だけ。それ以外は全てイベント絡みの活動になりました。保育園に着ぐるみをもちこんだり、夏まつりを3ヶ所で開催したこと、和菓子教室やピアノコンサート、そして何度か「炊き出し」もさせて戴きました。回数を重ねる毎に現地のニーズも変わり、我々にもある程度のノウハウが蓄積され、いつしか現地の方と一緒に過ごすこと、一緒に楽しむことに移行してきました。物資もまだまだ必要であるとは言って戴きますが、何せ仮設住宅では収納場所に限りがあります。配布会を覗きに来て、「欲しいけど置く場所が・・・。」と淋しそうに帰られる姿見ていれば自然に何か他に現地で喜んで戴けることは無いか、と考えた結果が和菓子教室であり、ピアノであり、炊き出しだったんです。
震災直後はおにぎり1個を分けて食べたとか1日1食食べられたらまし、という避難所があちらこちらにありました。炊き出しが行われる場所では早くから長蛇の列となり、僅かな量のうどんなどにも数時間並んで待っていた、という方の話も聞きました。あすなろでは今まで炊き出しはほとんどやらなかった、という理由の一つがそこにありました。人数の確定が出来ないからです。事前告知して来場してもらっても、全員に当らなければトラブルになります。今でこそ○○仮設で△△世帯、とある程度予測は出来ますが、釜石のように広い範囲に呼び掛けて戴き、当日の来場者が数百人、という場所ではとても準備が出来ません。そのために不公平になることは避けよう、と物資配布に専念してきたという経緯があります。1年経ち、2年経ち、仮設ながらでも商店や飲食店が戻ってきました。あちらこちらで官民を問わず復興イベントが開催され、賑わいも戻りつつあります。しかし、それも一部の地域に限られたことであり、我々が訪問した所では逆に「取り残されている」、「忘れられている」という声を耳にします。今年訪問した仮設住宅でも、「ボランティアが来てくれたのは久し振り」とか、「まだ来てくれるんだね」という声を聞きました。やはり市街地から離れた場所であり、交通手段が不便な場所です。そういう場所に限って炊き出しを行いましたが、仮設住宅内という限られた場所ですので当然来場者は顔見知りばかり、和気あいあいの雰囲気で我々も一緒に食べながら振舞えます。炊き出しというよりはキャンプのバーベキューのような感じ、と言えばご理解戴けますでしょうか。食材がある限りはお代り自由。子供さんたちが調理したければそれもOK.。保健所から大目玉を喰らいそうですが、本当に楽しい一時です。もはや、「支援活動」という雰囲気ではなく、交流会のようになっていますがその中で現地の声を聞き、現実の生活を知ることが出来るんです。不思議なもので、物が足りると余裕が出来ます。お腹が満たされると笑顔になります。そうなれば本音が聞こえてくるんです。配布会でも、当初は何処から来たか解らない得体の知れない連中が物資配布するそうだけど、と疑心暗鬼でこわばった表情で来場した方が目当ての品物を見つけ、炊き出しを口にしてくれ、帰り際には笑顔で見送ってくれます。このスタイルを来年も維持しつつ、また素晴らしい出会いがあることを願っています。
さて、ようやく第32弾の報告です。今回は12月21日(土)の1日だけ、それも配布会は無しで子供たちとのクリスマス会&餅つきだけに行って参りました。当初は12月14・15日の2日間を予定していたんですが、何せ年末の繁忙期で本業の方がどうにもならず、正直なところ第32弾は年明けかな、と思っていたんですが、土曜日だけの0泊3日を問いかけた所、すぐに参加OKの返事が何人かのメンバーから寄せられ、最終的には15名での活動となりました。今回も途中厚木のバス停で千葉県市原市から参加のTさん、港北PAでN先生をピックアップしながらの北上です。今回は雪の影響も考え、とにかく休憩時間を最小限に、との申し合わせで恐らくトイレ休憩だけ3ヶ所ほど停まった位で12時間で一関IC、最初の目的地、陸前高田市の竹駒保育園へは予定通り9時に到着しました。ここは昨年6月、「絵本畑」のお手伝いで二万冊の絵本を運ばせて戴いた所です。震災時に津波が1.5mほど園舎に押し寄せ、ずっと他所で間借りされていましたが、今年6月に震災後初の公共施設として新築移転となりました。そのお祝いもかねてイベントを、と乗り込んだ訳ですが、M園長先生との打ち合わせで土曜日は登園する園児が少ないこと、11時にはお昼の準備に入ること、12時には殆どの園児が帰宅することを知り、更に0~3歳児が殆どだから餅つきは見送り、となりました。我々に許された時間は約2時間。これで渋滞などで延着すれば何も出来ません。そのためトイレ休憩もそこそこに飛んで出来たんです。
お洒落でカラフルな園舎は従前と変わりませんが、部屋数が増えて使いやすい造りでした。会場となるホールに入り、即座に準備開始です。昨年、下矢作保育園のイベントに持って来たものの天候で出せなかった「ふわふわ」をホール内に拡げ、エアー注入開始! ところが、高いと思っていた天井以上にこにゅうどう君がデカく、一度萎ませて頭部を縛り、再度膨らませました。天井には当らなかったものの、何せ首から上が無いという不気味なモノになってしまいました。(後ほど子供たちのパワーでヒモが外れ、顔が現れた事をご報告しておきます。)
何とかふわふわの準備が出来たことで、次の目玉商品の準備です。丁度ホールのステージがあったので、そのカーテンの陰で子供たちに気付かれないようにN君・T君の若手コンビが「牛」に変身。この日のために四日市のふれあい牧場さんから牛の着ぐるみをお借りして来ました。ご記憶の方もいらっしゃるでしょうが、昨年の夏まつりにも使わせて戴いたものです。園長先生のご挨拶のあと、子供たちと一緒に「うっしさぁーん♡」との呼び掛けに愛敬たっぷりに登場した着ぐるみで早くも園児たちのテンションは急上昇です。よし、ツカミはバッチリ、あとは童心に帰って遊ぶだけです。
着ぐるみを着ると人格が変わるN君。H君は頭だけかぶって楽しんでいます。
出発前にご提供戴いた木製遊具なども大人気。時には奪い合い、時には仲良く。一緒にお持ちした絵本も保育園で使って戴きます。
今日の主役は2~3歳児。1歳児もお兄ちゃん・お姉ちゃんに負けじとおもちゃで遊んだりふわふわで飛び跳ねたり。自分にもこんな時期があったんですよね。着ぐるみもちょっと怖がるかな、と思いきや手を繋いだり尻尾を引っ張ったり。見ていて自分が着れば良かった、と少々後悔しています。
さて、今日は保育園にもプレゼントを持って来ました。前回同様、またしてもパンジーのご提供があり、約150株をプレゼント。そして大工のM君手製の「門松」です。
M園長先生(中央)を囲んでの記念写真。あっという間の時間でしたが、喜んでもらえたでしょうか。またお邪魔した時に元気な声が聞ける事を楽しみにしています。竹駒保育園のM園長先生はじめ職員の皆様、本当に有難うございました。
さて、丁度昼時となったのですぐ近くの復興食堂、「竹駒食堂」へ。ここにも以前ジャガイモの種芋をお届けしています。流石に15名全員が店内には入りきらず、女性陣以外は外のテラスで食事を摂りました。寒風に晒されながらも心が温まっている(?)ので苦にはなりませんでしたよ。
次の目的地、大船渡へ向かう前に今年夏まつりをさせて戴いた滝の里仮設住宅へ寄り道です。ここにも大工M君たちが手配してくれた白菜100個ほどと、畳をお届けです。窓口のⅠさんが翌日に仮設を出てすぐ近くの住宅に移られるということを伺いました。ようやく、という気持ちと少しさびしい気持ちが入り混じっているそうです。来年は仮設から出られる方も増えるでしょうが、2年ほど一緒に苦労して来た住民と離れる寂しさ、見送る寂しさはきっとあるでしょう。それでも、やはり早く普通の生活を、隣家に気を使わない落着いた生活を取り戻すことが何よりです。仮設住宅の集会所に入らせて戴いたら、夏まつりに使った「千羽鶴神輿」の土台だった酒樽が飾られ、集合写真も壁に掛けて戴いてありました。自治会長さんはこの仮設に寄せられたメッセージやボランティアの写真を残さず飾られています。この日も大学生のグループが足湯や折り紙のボランティアに来ていました。ここは本当に居心地のいい場所で、また来たいという気になるのも自治会長さんや住民の皆さんの人柄なんでしょうね。ここが撤去される日が早くくることを願ってはいますが、いつまでも皆さんに合える場所として残ってほしい、という何とも矛盾した気持ちになります。復興住宅の建設もまだまだこれからです。また必ず遊びに来ますね、と言葉を交わして滝の里を後にしました。
さて、大船渡市の学童保育所「にこにこ浜っ子クラブ」に到着したのは午後2時前。ここには事前にもち米をお送りして今日の為に下準備をしてもらっています。2年前にも一度餅つきに来ていますが、その時はスケジュールが押して既に餅つきが終わってからの到着でした。今回はM君の用意した石臼と杵で餅つき開始です。しかし、いつも10~20人ほどの子供さんがやけに多いんです。後から聞けば、K先生が子供たちに呼び掛けて戴いてあったとのことで、中学生になった「OB」まで来てくれていました。餅つきが始まるまでの時間を利用して子どもたちとジャンケン大会。勝てば景品プレゼントとあって、何度も何度も挑んでくる子供たち。多い子は一人で9勝して両手に持ち切れないほどの戦利品を友達に見せびらかしています。単純なことで結構盛り上がりました。さて、餅つきはというと、我があすなろの誇る餅つきペア・M君とN先生が手際良くあっという間に搗き上げてくれ、室内で早速あんこやきな粉、K先生ファミリーによる特製クルミだれに姿を変えて行きます。更にお雑煮まで用意して戴き、全員で搗き立ての餅を戴きました。
大活躍の石臼と杵。子供用の杵もありました。こちらにも門松をお届け。
建物の横には地元の鉄工所さんが造られたスカイツリー・東京タワー、通天閣が置かれています。夜になるとイルミネーションが灯され、中々見応えがあります。
おもちゃとお餅に満足げな子供たちの笑顔に癒され、最後のとっておきのプレゼント。とは言っても子供向けではありません。今回の活動に際して岡山県のTさんから、素晴らしいご提供品がありました。お母様と一緒に造られたという手作りのポーチやミニマフラー、ブローチです。先ずお世話になったK先生や職員の皆さんに2個ずつ選んで戴き、次に子供さんたちに「お母さんへのクリスマスプレゼント」として一つ選んでもらいました。手作り品ですから同じものはありません。それぞれが自分の親を想い浮かべながら真剣なまなざしで選んでいます。手間ひまを掛け、心を込めて作って戴いた小物たち、今頃はきっと大切に使ってもらっているでしょうね。
この学童保育所も震災後から仮の施設を利用してここが3ヶ所目になります。すぐ横に公園もあり、環境は随分良くなったようです。在籍児童も約50人と大幅に増え、これは保護者が就職先が見つかって働き始めたから、というのが大きな理由だそうです。職員さんはK先生を含めて僅か3名。そこへ先生のご両親や保護者の応援があって運営されています。浜っ子には第2便で初めて訪問してから2年7ヶ月のお付き合いになります。最初は何処か不安気な、淋しそうな表情の子が見受けられましたが、先生方はじめ地域の皆さんの支えがあって本当に明るく元気になったと感じます。何度かお邪魔してすっかり覚えてくれている子もいて、ここもまた来たい、と思う場所です。
今回は以上のような内容でしたが、我々のほうが楽しませてもらい、元気を貰った気がします。この子たちが将来は地域復興の中心となって行きます。来年も、もっと希望に満ちた、より良い年になることを願って止みません。東北の皆さんを少しでも元気付けられるように、我々も益々元気にならなくては、と心に誓って第32弾の活動報告とさせて戴きます。
今年一年間、全国各地からたくさんの物資や寄付金のご提供、温かいご声援を戴きました事に心より御礼申し上げます。
明年が皆様にとって益々素晴らしい年になりますよう心からお祈り申し上げ、年末のご挨拶に替えさせて戴きます。本当に有難うございました。そして、来年も引き続き あすなろ応援便を宜しくお願い申し上げます。